浅草から熊本へ、つながるご縁

 

東京・浅草は、昔から職人の町として知られています。
江戸の頃から続く商いと、ものづくりの文化が今も息づいている町です。

箱長も、そんな浅草で長く商いを続けてきました。町を歩いていると、昔からのお客様に声をかけていただくことがあります。
「まだ頑張っているね」
「昔買った箱、今も使っているよ」
そんな言葉をいただくと、本当にありがたい気持ちになります。

箱長は毎年三月の初めに、熊本の百貨店
鶴屋百貨店
で開催される
大江戸展
に出店しています。今年で二十九回目になります。

私が初めて熊本へ出張に行ったのは、今から二十八年前。父であり、現在会長である父と一緒でした。あの頃は右も左も分からず、ただ必死にお客様と向き合っていたことを思い出します。

今年の熊本で、嬉しい出来事がありました。
初日の開店直後に来店されたお客様のOさんが、開口一番こう声をかけてくださいました。
「お父様は元気ですか?」

「八十を越えましたが、なんとか元気にしています」とお答えすると、懐かしそうに微笑んでくださいました。

Oさんは、私が初めて熊本に来た頃からのお客様です。久しぶりの再会でした。
「家の中には箱長の商品がたくさんあるのよ。今日は前から欲しかった柱鏡を買いに来たの」

そう言って柱鏡をお求めになり、しばらく昔話をして、嬉しそうに帰っていかれました。

すると翌日の夕方、今度は一人の男性のお客様が私を見て笑いながらこう言いました。
「あなた、Oさんの息子さんにそっくりね」

聞けばその方はOさんの親友で、よくOさんのお宅に遊びに行くそうです。
「いつも家にある箱長の商品を見て、素敵だなぁと思っていたんだよ」

そんな会話をしているうちに、そのお客様は袴を入れる引き出しをお買い上げくださいました。

人と人とのつながりが、また新しいご縁を運んできてくれる。
改めてそんなことを感じた出来事でした。

ものは時代とともに変わっていきますが、手仕事の温もりは変わりません。箱長の品は、派手ではありませんが、長く使うほど味わいが出てきます。

浅草という町は、観光地として多くの人が訪れますが、そこには今も職人の暮らしがあります。箱長もまた、この町の一員として、これからも丁寧なものづくりを続けていきたいと思っています。

そしてまた来年、熊本で皆さまにお会いできるのを今から楽しみにしています。