鈴の音とともに受け継がれてきた —— 箱長152年の物語

箱長の歴史は、明治7年  西暦1874年
初代・宮田倉次郎が、桐箱屋「宮田商店」を創業したところから始まります。

まだ東京が“江戸の名残”を色濃く残していた時代。
職人の手仕事が町を支え、人と人とのつながりの中で商いが成り立っていました。

その後、明治27年。
倉次郎の息子・長次郎が、屋号を「箱長」と名乗ります。

『長次郎の長を』 また “長く愛される箱屋でありたい” 
そんな想いも込められていたのかもしれません。

時代は流れ、
新一郎、新司、そして現在の健司へ。

箱長は、親から子へ、
技術だけではなく、人とのご縁や想いも受け継ぎながら歩んできました。

実は、父である新司は8月5日生まれ。

——8月5日、「箱の日」です。

まるで、箱屋になるべくして生まれてきたような話ですが、
昔から家族の中では、よくそんな話をしていました。

偶然なのか、必然なのか。
けれど、こうした不思議な巡り合わせも、
152年続く箱長らしいご縁なのかもしれません。

そして今、その歴史はさらに次の世代へ続こうとしています。

私の息子の名前は「鈴ノ介」。
2009年生まれです。

実はこの名前、
箱長の人気柄でもある「鈴」から名付けました。

鈴の柄は、昔から箱長でとても人気があります。

鈴には、「福を呼ぶ」「良いご縁を呼び込む」という意味があり、
神社でも清らかな音で邪気を払う縁起物として親しまれてきました。

だからでしょうか。
鈴柄の商品を選ばれるお客様には、
どこか温かく、優しい方が多い気がします。

「娘に持たせたい」
「福が来るように飾りたい」
「音が聞こえてきそうで可愛いですね」

そんな言葉を、これまで何度もいただいてきました。

不思議なことに、
箱長そのものも、鈴に導かれてきたような気がします。

今から28年前。
浅草に店を出した日も、忘れられません。

それは三月の雪の日でした。

それまでの箱長は、卸しと百貨店催事が中心。
自分たちの店を持つということは、大きな挑戦でした。

雪の降る浅草。
不安もありました。

「本当にお客様は来てくれるのだろうか」
「この場所でやっていけるのだろうか」

けれど、あの日から少しずつ、少しずつ、
箱長にはたくさんのご縁が集まるようになりました。

浅草という町で出会ったお客様。
全国の催事でつながったご縁。
そして海外から来てくださる方々まで。

振り返ると、
鈴の音のように、人とのご縁が次々とつながり、
今の箱長があるのだと思います。

152年続く箱長。

けれど、歴史というものは、
ただ長く続けばいいわけではありません。

人に喜んでいただき、
「また来たい」と思っていただき、
その積み重ねが、いつしか歴史になる。

これからも箱長は、
鈴の音のように温かく、心に残るものづくりを続けていきたいと思います。