「想いを包む、小さな仏壇」

その日は、急遽店番をすることになりました。
朝から雨が降り続き、通りも人通りが少なく、今日は静かな一日になりそうだなと、ぼんやり思っていた夕方のことです。

ふと店の戸を開けて入ってきた女性の顔に、見覚えがありました。
「大阪の百貨店で接客していただいたんです」
2、3年前にお会いしたお客様でした。

思わぬ再会に、背中にじんわりと鳥肌が立ちました。
まるで時間が巻き戻ったようで、嬉しさと驚きで胸がいっぱいに。

彼女は、長年一緒に暮らしていた猫が先日亡くなったことを話してくれました。
「とても大切な家族だったんです。だからちゃんと見送ってあげたくて…」と。

そのために、わざわざ箱長を訪ねてくださり、ペット用の小さな仏壇をオーダーしてくださったのです。

「優しい色合いで、桐のぬくもりがあって…これなら、あの子も喜びそう」
お客様のその笑顔に、胸の奥がじんわりあたたかくなりました。

雨の日の、偶然のようでいて、必然だったようにも思える再会。
この仕事は、ただ“物”をつくっているんじゃない。
“想い”に寄り添えるものを、届けているんだと改めて感じました。

今日もまた、箱長に来てくれてありがとう。
その出会いに、心から感謝しています。