「木目込みがつなぐ、心の贈り物」

先日、品川区の小学校にて木目込み体験教室の講師としてお招きいただき、100人あまりの元気な生徒たちに、伝統の技をお伝えする機会をいただきました。

最初は緊張していた子どもたちも、少しずつ笑顔に。
布を選んで、木目を感じながら、指先でそっと木目込みをする。
小さな手から生まれる作品たちに、私の方が元気をもらいました。

教室の終わりには「楽しかった!」と笑顔で声をかけてくれたり、まさかの「サインください!」とまで。
木目込み人生で初の“サイン”体験に、私も思わず笑ってしまいました。

数日後、小学校から何通もの手紙が届きました。
その中に「ありがとう、またやりたいです」と書かれた言葉を見つけた時、胸がいっぱいになりました。

そしてある休日、あの時の生徒の一人が、お祖母さんと一緒にお店を訪ねてくれたのです。
「お母さんの誕生日にプレゼントしたくて」と、自分のお小遣いで小物を選ぶ姿に、私は心から感動しました。

木目込みがつないだ、ほんの小さな出会い。
でもその一つひとつが、誰かの「想い」になって、次の誰かに届けられていく。

ああ、いい仕事をしているなぁ。
そんな風に思わせてくれた、かけがえのない一日でした。