「大阪の老舗旅館で出会った箱長商品 ― 偶然なのか、必然なのか」  

夏休み、息子のインターハイの応援で大阪へ行ってきました。

大阪へ出張する際、私がいつもお世話になっているのが、天王寺にある老舗旅館「葆光荘(ほこうそう)」です。

長年、大阪へ来るたびに泊まっている、私にとってはどこかホッとする馴染みの宿。

今回は仕事ではなく、息子の応援での大阪でした。

ところが部屋に入り、何気なく室内を見渡していると……

「あれ?」

見覚えのあるものが目に入りました。

なんと、そこに箱長の商品が飾られていたのです。

東京・浅草から遠く離れた大阪の、それもいつも私が泊まっている旅館の一室に、箱長の品がある。

驚いて女将さんに尋ねてみると、さらに嬉しい話を聞かせてくださいました。

その品は、旅館の向かいにお住まいの方から譲り受けたものだそうです。

その方もご高齢になり、

「自分の家に置いておくより、旅館で使ってもらったほうがいい」

そう言って、葆光荘さんに託してくださったとのこと。

その話を聞いた瞬間、なんとも言えない気持ちになりました。

箱長の店で、いつ、どなたがお求めくださった品なのか。どんな思いで大阪まで連れて帰ってくださったのか。

そして長い年月を経て、その品が次の方へと受け継がれ、巡り巡って、私がいつも泊まっている旅館に飾られている。

しかも今回、私がそこを訪れたのは仕事ではありません。
息子のインターハイを応援するための旅でした。

そんな特別な旅の途中で、自分たちが作った品と再会するとは思ってもいませんでした。

これは単なる偶然なのでしょうか。

それとも、長く商いを続けていると、こんな不思議な「必然」に出会わせてもらえるのでしょうか。

箱長は明治7年創業。

職人が一つひとつ作った品は、お店を出た瞬間から、私たちの知らない人生を歩み始めます。

誰かの暮らしの中で大切に使われ、時には次の人へ受け継がれていく。

そして何十年か経ったある日、思いもしない場所で私たちの前に戻ってくる。

品物にも、ご縁があるのかもしれません。

息子のインターハイで訪れた大阪で、改めて「長く商いを続ける」ということの意味を教えてもらった気がしました。

これから私たちが作る箱長の品も、いつかどこかで、こんな素敵なご縁をつないでくれたら嬉しい。

そんなことを思いながら、葆光荘の部屋に飾られた箱長の品を、いつもとは少し違った気持ちで眺めていました。

偶然なのか、必然なのか。

答えは分かりません。

でも、こういう出会いがあるからこそ、長く商いを続けてきて本当に良かったと思います。